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ストレスと人間の欲求

ストレス

 

ストレスとは、もともと機械工学の用語で、物体の部分にかかる外部からの物理的な圧力(外力)に対して反発する力(内力)を、応力=ストレス(Stress)と呼んでいた。語源はDistress(苦悩・難儀)であるとされており、物理学ではスプリングの中に生じる歪みを表現するとともに、生体内に生じた歪みの状態を表現する言葉であるとされている。

ストレスという言葉の語源から分かるように、ストレスとは、刺激に対応する反応と言い換えることができる。ストレスを人(生物)に与える何らかの刺激のことをストレッサーという。その反応には、悪い反応と良い反応の双方が存在し、適度な緊張としてのストレスがないと、人は生きていけないともいわれている。

また、ストレスの量と生産性の関係では、ストレスレベルが高すぎても、低すぎても生産性は落ちるということがわかっている。

ストレスが原因で、疾患や憎悪の原因となることがある。疾患には、心身症群として循環器疾患である狭心症心筋梗塞、高血圧症など、消化器疾患である胃や十二指腸の潰瘍、過敏性大腸炎など、呼吸器疾患である気管支喘息過換気症候群など、神経筋疾患として緊張性頭痛、腰痛やメニエール症候群などがあり、神経症群として心臓神経症不眠症自律神経失調症など、さらにうつ状態、精神的な病的状態(職場不適応、燃え尽き症候群)などがある。

 

マズロー自己実現欲求理論

 

マズロー自己実現欲求理論とは、米国の心理学者アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものである。

5段階の階層は、ピラミッド型に整理され、下部から「生存と生理的欲求」「安心と安全の欲求」「所属と愛の欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」である。

 

これらの5つの欲求のうち、「自己実現欲求」の手前までが「欠乏欲求」と分類され、それぞれ4段階の欲求が、ある程度満たされていないと、その人間は強く満たされたという欲求が表面化する。つまり、「生存と整理の欲求」は、衣食住といった生活の基本に関する欲求が満たされていないと、その人間は、この欲求を強く満たそうとする。また、ある程度満たされれば、逆に欲求は意識下になり、普段はこのことを考えず、他の満たされない欲求を満たそうとする。

「安心と安全の欲求」は病気や怪我をしないように、最低限の健康的な生活を確保したり、災害の危険を日常感じたりすることがないようにする。この欲求も、ある程度満たされれば、普段意識的に感じることはない。

同様に「所属と愛の欲求」は、家族や社会のなかでの個人的な存在感や、他者からの愛情への欲求、また「承認欲求」では、地位や利権に対する欲求や、自己尊重や自立に関する欲求になる。

 

ここまでの「欠乏欲求」をクリアした人間には、「成長欲求」が芽生え、それが「自己実現欲求」として、しっかりと意識されるようになる。自己実現欲求は、自発的な創造性に関する欲求や、社会に対して自立的な振舞いにかんする「自分の生き方」を磨いていくイメージがある。

 

5つの欲求を整理するもう一つの考え方は、「物理的な欲求」と「精神的な欲求」に分ける見方である。「物理的な欲求」としては、「生存と生理の欲求」「安心と安全の欲求」、一方、「精神的な欲求」としては「所属と愛の欲求」「承認の欲求」「自己実現の欲求」がある。ここでいう「物理的」とは、身体的な安全確保に関するものや、病気にならずに日々の生活を送ることができるといった、本人の体に直結した欲求である。「精神的」とは、集団の中での生活に関する自分の位置付け確保や、文化・時代にマッチングをするためのポジショニングに関する意識の持ち方に関する欲求といえる。自己実現の欲求についても「精神的」な欲求が中心となる。